当院では、いろいろな精神疾患に対しての薬の治験を行っています。 治験というのは、現在はまだ日本国内では使われていない薬について、その効果を証明するために
行うものです。 世界的には承認されているのに、日本での承認を得ていないために国内では使われていない薬に 対するものが主です。 時には、世界的に同時に行う治験にも参加しました。 これは、Aという病気に使われているある
有力な薬物が、経験的にBという病気にも有効であるという事が知られている場合に、本当にBという 病気に有効であるという事を臨床医学的に証明するものでした。 この治験が世界的に大成功したお
蔭で、ある薬が違う病気のために堂々と使える様になりました。 よく、人体実験ではないか?などと誤解される方がいますが…ちょっと?いや、大分違います。
全く使われていない薬ではなく、日本以外ではすでに使われている薬について行うものです。 また、とても厳格に、精密に行われ、倫理的に制限されるため、どの様な患者さんにも行えるという
ものではありません。 患者さんが希望されても残念ながらお断りする場合もあります。 私は、治験により、患者さんにさらに安全な治療を行えているものと考えています。
治験担当医として、世界標準の診断が出来なければならないために、M.I.N.I.という方法を用いた
DSM診断や、同じく世界標準で病態水準を評価するために、ハミルトンうつ病評価尺度17項目、 MADRS(マドラス)、LSAS-J(全般性社交不安障害の評価尺度)、コロンビア自殺評価尺度、
DIEPSS(薬原性錐体外路症状評価尺度)、ヤング躁病評価尺度などを用いています。 これはちょっと難しい話になってしまいましたが、治験に”超”の字の付く客観性を持たせる
ために必要なものなのです。これらが(正しく)使えるためには、きちんとしたトレーニングを受けて、 正しい診断ができ・評価ができるという事が証明されなければなりません。これらを正しく世界標準
で用いているかどうかが時々、第3者機関によってチェックされたり、講習を受けたりしています。 数多くの治験に協力したお蔭で、上記の診断精度は格段に上がり、病態水準の把握も的確に行える
様になりました。精神科の一般診療でこれだけの客観的診断・評価をおこなっている医療機関は おそらく非常に少ないだろうと自負しています。 このことは、治験以外の日常診療にも勿論役立ち、新来のほぼ総ての患者さんに何らかの形で
行っています。(ほぼ全患者さんをDSMで診断しています……これは稀有な事だと思います。) このため、患者さんにとっても診断名が理解しやすく、治療によってどの位良くなったのかも客観的で
分かり易いと高く評価され、喜ばれています。 ご質問・ご興味があれば、遠慮無くきいて下さい。
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